「格安SEOは怪しい?」「なぜSEOは高い?」そんな疑問を持つ中小企業向けに、SEOの本質と料金差が生まれる理由を整理。外注前に知っておきたい判断軸を解説します。

あれ?これ高いの?安いの?
SEOを検討する中小企業の経営者や責任者の方の中には、「SEOって具体的に何をしてくれるの?」「本当に集客できるの?」「なぜこんなに高いの?」と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
SEOと聞くと、何となく「GoogleやYahooで検索順位を上げるための技術や極意」のようなものを想像しがちです。検索結果の上位に表示されている商品やサービスを、無意識のうちに選んできた経験から、「自社の商品やサービスも1位になれたら、きっと売れるはずだ」と期待し、SEOに興味を持つのも自然な流れです。
しかし、いざ外注を検討すると、その費用感に戸惑うことになります。SEO対策のボリュームゾーンは非常に広く、一般的な運営型のサービスでは月額10万円〜50万円程度が相場とされることも少なくありません。「正直そこまでの予算はかけられない」「できればもっと安く始められないか」と考え、格安SEO業者を探し始める方も多いでしょう。
一方で、「SEO業者に何を任せることになるのか分からない」「なぜここまで料金に差があるのか理解できない」といった疑問を解消できないまま、判断を先送りしてしまうケースも少なくありません。
本記事では、SEOの本質と料金の差が生まれる理由を整理し、外注するかどうか、そしてどこまで投資すべきかを自分で判断できるようになることを目的としています。
正直、SEOってなに?戦わずして勝つ
SEOとは「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略称です。
一般的には「GoogleやYahooで検索順位を上げるための技術」「上位表示させるためのノウハウ」といったイメージで語られることが多いかもしれません。そのため、ホームページの中に何か特別な“秘伝のコード”を埋め込んで、劇的に順位を上げるような作業を想像する方も少なくないでしょう。
しかし、実際のSEOはそのような魔法のような手法ではありません。SEOの本質は、自社がすでに持っているリソースやユーザーメリットを最大限に引き出し、それにニーズと魅力を感じる潜在顧客と出会うための仕組みづくりにあります。検索順位そのものが目的なのではなく、「どのような検索をする人に、どのような価値を届けられるのか」を整理し、適切に伝えることが本質です。
たとえば、雑居ビルで夜間のみ運営し、定員が10名程度の児童向け保育園があるとします。この保育園が「新宿 保育園」というビッグキーワードで1位を目指すのは、現実的には非常に厳しいでしょう。
一方で、「新宿 保育園 深夜」や「新宿 保育園 一時預かり」といった条件を絞った検索であれば、自社の強みとニーズが一致し、上位表示を狙える可能性は十分にあります。
SEOには、サイト内部の構造や表示速度を整える内部対策、外部からの評価を意識した施策、ユーザーの疑問に答えるコンテンツ発信など、さまざまな方法があります。重要なのは「何でも上位を狙う」ことではなく、自社の強みを見極め、そこに集中することだと言えるでしょう。
いわば「戦わずして勝つ」。競合がひしめく正面の市場で無理に争うのではなく、自社の条件や強みが最も活きる場所を探し出し、そこで確実に見つけてもらう。そのための視点を与えてくれるのがSEOです。
さらに、SEOの過程では、自社にとって「意外な武器」が見つかることもあります。
たとえば先ほどの保育園の例で、「新宿 保育園 深夜」だけでなく、「千代田 保育園 深夜」といったキーワードでも上位表示できる可能性が見えてきたとします。すると、「千代田区の〇〇〇エリアからは車で2分」といった情報を明確に打ち出すことで、これまで想定していなかった隣接エリアからの集客も現実的になります。
このようにSEOは、単なる集客施策にとどまらず、どの市場に需要があり、どこまで事業を広げられるのかを見極めるためのヒントを与えてくれます。検索結果に表れるユーザーの言葉は、そのまま市場の声でもあります。SEOを通じてその声を正しく読み取ることが、企業の成長戦略につながっていくのです。
SEOのメリットをおさらいしよう
ここまで見てきたように、SEOは単に検索順位を上げるための技術ではなく、事業の強みや価値を、必要としている人に的確に届けるための仕組みです。
SEOには、AI時代以前から一貫して評価されてきた、次のようなメリットがあります。
高い費用対効果
広告のようにクリックごとに費用が発生する仕組みではないため、一度評価されたコンテンツは、追加コストをかけずに継続的な集客が見込めます。中長期で見ると、コストパフォーマンスの高い施策と言えるでしょう。
ターゲット精度の高さ
検索行動は、ユーザーの悩みや関心が明確に表れやすい行動です。適切なキーワードを選定することで、ニーズが顕在化したユーザーと直接つながれる点は、SEOならではの強みです。
持続性と資産性
一度作成したコンテンツは、短期間で消費されるものではなく、時間をかけて検索流入を生み続けます。積み重ねるほどに価値が残りやすい点は、他の集客施策にはない特徴です。
測定・改善が容易
検索順位や流入キーワード、クリック率などを通じて、成果を数値で把握しやすいのもSEOの利点です。感覚ではなく、データをもとに改善を重ねられるため、再現性のある運用が可能になります。
さらに近年では、生成AIの普及によって、SEOが持つメリットも少しずつ形を変えつつあります。生成AI時代におけるSEOの考え方や新たなメリットについては、以下の記事で詳しく整理しています。
SEO料金はどのように算定されるのか
SEOの料金は、あらかじめ決まった全国共通の相場があるわけではありません。実際には、各SEO業者がどのような目標を設定し、どこまでの提案や作業を行うのか、さらに社内の料金設計や体制によって大きく変わってきます。そのため、同じ「SEO対策」という言葉でも、提示される金額に大きな差が生まれるのです。
たとえば、特定のキーワードでの順位改善だけを目的とするのか、サイト全体の構造改善や中長期的な集客力の強化まで含めるのかによって、必要となる作業量や関わる人員はまったく異なります。提案内容が広がれば広がるほど、分析や設計、調整にかかる工数も増え、それが料金に反映されます。
あくまで目安ではありますが、SEO担当者の時給は一般的に4,000円〜10,000円程度と言われることが多いようです。SEO会社が顧客に請求する金額は、この担当者に支払う人件費に、管理コストや利益などを加えた形になるため、実際の請求単価は担当者の時給の2倍〜5倍程度をベースに設定されるケースが少なくありません。
SEO料金の差が生まれる理由
SEOの料金について考える際、まず押さえておきたいのは、「高い=ぼったくり」「安い=怪しい」と単純に判断できるものではない、という点です。SEOは成果物が目に見えにくい分、価格だけを見ると不安になりがちですが、料金の差にはそれぞれ背景があります。
大きな要因のひとつは、目標設定と提案内容の違いです。短期的な順位改善を目的とするのか、中長期的に安定した集客基盤を作るのかによって、設計の考え方や作業範囲は大きく変わります。それに伴い、関わるリソース、主に人員の数や作業工数も異なり、結果として料金に差が生まれます。
高額だけど本格SEO
一般的に高額なSEOコンサルティングでは、単に検索順位を上げることだけを目的としないケースが多く見られます。
「このキーワードは検索ボリュームが大きく、将来的な成長余地がある」「この領域に参入すれば事業全体の拡大につながる」といった、事業視点での課題整理やシミュレーションを含めた提案が行われることもあります。こうしたサービスでは、複数業種でのナレッジや実績を活かしながら、伴走型で支援するスタイルが取られることが多く、SEOに限らずブランド構築や他のマーケティング施策についてもアドバイスが及ぶ場合があります。
結果として、SEOという枠を超え、経営コンサルティングに近い立ち位置になることも少なくありません。
格安SEO
一方で、格安SEOが成り立つ背景には、作業のテンプレート化や自動化があります。内部対策やコンテンツ作成を定型化したり、AIによる文章生成を活用したりすることで、工数を大きく削減できるため、低価格での提供が可能になります。
このタイプのSEOは、伴走型での長期支援というよりも、あらかじめ決められたタスクをスピーディーに実行する「スポット対応」に近いケースが多い傾向があります。ただし、外部に依頼する立場からすると、「何をどのようなプロセスで進めているのか」が見えにくく感じられることもあり、この点は事前に確認しておきたいポイントです。
また、格安SEOの中には、企業側のリソースを丁寧にヒアリングしたうえで、「今できるSEO施策」に絞って取り組むことで、結果的に費用を抑えているケースもあります。すべてを一度にやろうとせず、優先順位をつけて進めるという考え方は、必ずしも品質を下げるものではなく、状況によっては合理的な選択肢になり得ます。
なお、いずれの価格帯においても手法や考え方は業者ごとに異なり、一概に良し悪しを決められるものではありません。重要なのは、自社の目的や体制に対して、そのSEO施策と料金が納得できる設計になっているかどうかを見極めることだと言えるでしょう。
格安SEO vs 高いけど本格SEO?
格安SEOと高いけど本格SEOは、優劣で語るものではなく、目的と状況によって向き不向きが分かれるものです。まずは、自社がSEOに何を求めているのかを整理することが重要になります。
たとえば「SEOによる集客効果を一度体験してみたい」「現在の競合や自社の検索上のポジションを把握したい」「SEO上の課題点を洗い出し、優先順位をつけて取り組みたい」といった段階であれば、必ずしも総合的で且つ本格プランは必要ありません。課題をスポット的に解決しながら、SEOの感触をつかむという意味では、格安SEOで十分なケースも多くあります。
また、ローカルサービスなど、潜在顧客の上限がある程度予測できる業種や、周囲の競合他社があまりSEOに力を入れていない市場では、比較的少ない施策でも成果が出やすいことがあります。このような環境では、大規模な投資を行う前に、小さく始めて効果を検証するという選択は合理的だと言えるでしょう。
一方で、SEOは業者にすべてを丸投げすれば成果が出るものではありません。コンテンツの作成や監修、事業内容の整理など、どうしても社内の協力が必要になる場面があります。SEO業者は分析結果や改善案をレポートとして提示しますが、それを実行に移せなければ、期待する結果は生まれにくくなります。
もし社内にSEOを担う担当者を置く余裕がなく、実行まで踏み込めない状況であれば、最初から本格SEOに取り組むよりも、施策を限定した格安SEOで現実的な範囲から始めるほうが、結果的に無理のない選択になることもあります。SEOは段階的に取り組むものだと考え、自社に合った距離感を見極めることが大切です。
ただし、こうした手法を単に「格安SEO」と呼んでしまうと、どうしても価格の安さばかりに注目が集まり、「手抜きなのではないか」「何か理由があって安いのではないか」といった先入観を持たれてしまうことがあります。
そこで私は、この考え方をあえて「スモールSEO」と呼んでおり、単に費用を抑えることを目的としたSEOではありません。
格安SEOが持つ「無駄を省き、今できる施策に絞る」というメリットを活かしつつ、伴走しながらSEOの考え方や運用のテクニックを共有し、最終的には自社内でSEOを回せる状態を目指すアプローチです。
外部にすべてを任せきりにするのではなく、実際の施策を通じて、
・どこを改善すれば成果につながるのか
・自社の強みはどこにあるのか
・どの作業は内製でき、どこは外注すべきか
といった判断軸を持てるようになることを重視しています。
その意味でスモールSEOは、「安く済ませるためのSEO」ではなく、SEOの効果を体験しながら、自社の立ち位置や課題を見極めていくための、リソース節約型かつ学習型のSEOだと言えます。
スモールSEOを分かりやすく言うと
スモールSEOは、ゴルフの上達プロセスに例えると分かりやすいかもしれません。
ゴルフが上手くなりたいと思ったとき、いきなり
・高額なフルサポート付きスクールに通う
・最新のクラブをすべて揃える
・プロの試合を真似して自己流で練習する
という選択をする人もいます。
ただ、それが必ずしも最短ルートになるとは限りません。
そこでスモールSEOでは、「まずは今のスイングのどこに課題があるのかを確認しましょう」というスタンスを取ります。
・力の入れ方は合っているか
・フォームに無駄はないか
・そもそも狙うべき方向は合っているか
こうしたポイントを一緒に確認しながら、正しい練習方法を身につけていく。
練習そのものを代行するのではなく、なぜミスが出るのか、どう直せばいいのかを理解し、自分で再現できる状態を目指します。
SEOも同じです。すべてを外部に任せて結果だけを待つのではなく、強みや課題を整理し、正しいやり方を学びながら進めていく。それがスモールSEOの考え方です。
まとめ:SEOは「選ぶ前に、理解するもの」
SEOは、魔法のように検索順位を押し上げてくれる裏技ではありません。
また、「安いから危険」「高いから正解」と単純に判断できるものでもありません。
SEOの本質は、自社が持つリソースや強みを整理し、どのニーズと結びつければ価値が最大化されるのかを見極めることにあります。
そして、その考え方や取り組みの範囲によって、必要な工数や人員が変わり、結果として料金にも差が生まれます。
だからこそ、SEOを外注するかどうかを考える前に、「何を目的に、どこまでやりたいのか」「いまの自社に必要なSEOはどの段階なのか」を一度立ち止まって整理することが重要です。
本格的なSEO支援にも、格安SEOにも、それぞれ役割があり、正解は一つではありません。
その違いを理解したうえで選ぶことが、後悔しないための前提になります。
なお、ここで本記事で触れてきたSEOの考え方を、簡単に整理しておきます。
■ 本格SEOの特徴
・中長期的な事業成長を前提としたSEO設計
・検索順位の改善だけでなく、事業視点での課題整理やシミュレーションを含めた提案が行われることが多い
・複数業種でのナレッジや実績を活かした戦略立案が期待できる
・SEO以外のマーケティング施策やブランド構築まで踏み込むケースもある
・関与する人員や工数が多く、費用は高額になりやすい
■ 格安SEOの特徴
・あらかじめ決められたタスクや施策に絞ったスポット対応が中心
・工数を抑えることで、低価格での提供が可能
・短期間で実行しやすい一方、施策の背景や進行プロセスが見えにくい場合がある
・「今できるSEO施策」に集中するため、目的や期待値の整理が重要になる
■ スモールSEOの特徴
・格安SEOの「無駄を省く」という考え方を活かしつつ、伴走型で進めるSEO
・実際の施策を通じて、SEOの考え方や運用のテクニックを共有する
・外部に任せきりにせず、自社内でSEOが回せる状態を目指す
・費用を抑えること自体が目的ではなく、効果を体験しながら自社の立ち位置や課題を把握することを重視
この記事では、本格SEOや格安SEOといった「外注」を前提に、スモールSEOの特徴を説明してきましたが、スモールSEOは、必ずしも外注でなければ成り立たない概念ではありません。
自社で外部の力を借りずにSEOを運用することも、十分に現実的な選択肢であり、その場合でも、リソースや優先順位を整理し、小さく試しながら判断していくというスモールSEOの考え方は有効です。
このサイトでは、そうした「自社でSEOに取り組みたい企業」に向けて、実務に活かしやすいスモールSEOの考え方やメソッドを公開しています。
***
本記事が、SEOに対する漠然とした不安や疑問を整理し、納得したうえで次の一手を考えるための材料になれば幸いです。
SEOは「始めること」よりも、「理解したうえで選ぶこと」が、その後の成果を大きく左右するのです。

