最初、ファンクラブサイトを作るには手軽なWordPressを考えました。しかし、会員情報を扱うことになるため、セキュリティの不安‥
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(最終更新 2025年03月02日)

Shopifyでファンクラブを制作する人が押さえておくべき「リアルな要件定義」7項目

今回はファンクラブサイトを成功させるための「要件定義」について、実践的なアドバイスをお届けします。

今や、Shopifyは単なるオンラインショップ構築の枠を超えて、あらゆる「もの」と「サービス」の提供が可能な革新的なプラットフォームへと進化しています。

その進化の中でも、特に注目すべきなのが「ファンクラブサイト」の構築です。

実は、私はこれまでに芸能人のファンクラブサイトを6つ、ほぼ1人で制作した経験があります。その中で得た知識と経験を活かし、今回はファンクラブサイトを成功させるための「要件定義」について、実践的なアドバイスをお届けします。

あなたのサイト運営に役立つヒントが満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。

Shopifyでファンクラブ制作 4つの利点

まず、かつてWordpressを崇拝していた私がShopifyを選んだ理由、感じたメリットを紹介します。

会員情報のセキュリティ

最初、ファンクラブサイトを作るには手軽なWordPressを考えました。しかし、会員情報と決済履歴を扱うことになるため、セキュリティの不安がどうしても拭いきれませんでした。

実際に、WordPressのセキュリティ保守を依頼すると、月々安くても33,000円~44,000円(税込)程度の費用が発生します。

そのため、会員情報のセキュリティをより強化するために外部のSaaSを検討したところ、さらに110,000円(税込)かかるという現実に直面し、かなり落胆しました。(※見積額は実際問い合わせして提示された金額です)

一方、Shopifyであれば、安価なプランで月額3,650円からセキュリティ万全なサイト構築が可能です。これにより、セキュリティ面でも大きな安心を得られるため、非常にコストパフォーマンスが高いと感じました。

サブスクリプション(ファンクラブサイトに欠かせない)

ファンクラブサイトに欠かせない要素の一つが「サブスクリプション」です。

Shopifyでは、専用のサブスクリプションアプリを利用することで、年会費の自動決済システムを簡単に導入できます。この機能を使えば、会員がスムーズに更新手続きでき、運営者側も手間が省けます。

ただし、唯一のデメリットは、現在のところサブスクリプション決済がクレジットカードに限定されている点です。しかし、それでも手軽に導入できるメリットが大きいと感じています。(※私が運営するファンクラブでは、クレジットカードの他にもID決済が使用できます。その手法について後述します)

物販も可能

ファンクラブサイトと言えば、会員費だけでなく、グッズの販売など物販も欠かせません。Shopifyなら、物販機能が非常に強力で、オンラインショップの運営が簡単にできます。会員限定のグッズや限定アイテムの販売も、サイト上でスムーズに行えるため、会員のエンゲージメントを高めることができます。

年会費や物販のほかにも、様々な収益化のヒントが得られる

Shopifyを使うことで、年会費や物販以外にも、さまざまな収益化の方法を見つけることができます。
例えば、特別なコンテンツへのアクセス権を販売したり、イベントやオンラインライブチケットを販売するなど、アイデア次第で収益化のチャンスが広がります。

Shopifyでファンクラブ制作の要件定義

ここからは、Shopifyでファンクラブサイトを制作するための要件定義になります。

1.会費のサブスクリプション

・ファンクラブの会費は都度請求ができないため、サブスクリプション機能が必須。

・柔軟な設定や運営を行うには、サブスクリプションアプリの導入がおすすめ。

・例えば、以下のような設定をアプリで簡単に管理できる:
→次回の決済日をいつにするか?
→決済が失敗した場合の対応は?
→クレジットカードの期限切れを事前に通知する事ができるか?会員自ら更新するツールは?
→自動決済の前に決済日を知らせるメールを送信するか?

・Shopifyのサブスクリプションはクレジットカード決済のみ対応というデメリットがある。→クレジットカード以外の決済方法を導入する場合、スタッフによるマニュアル作業や自動ワークフローの活用を検討する必要がある。

2.アクセス権限の付与

・会費を支払った会員だけがアクセスできるコンテンツを提供するのが、ファンクラブサイトの役目。

・アクセス制限で最も一般的に使用される方法は、以下の流れ:
①会費の支払い → ③タグを付与(自動ワークフロー) → ③ タグの有無でアクセスを制限

・アクセス制限はLiquidで実装するか、アプリの使用を検討

・アプリを使う場合、直感的に設定できる「Easy Lockdown」がおすすめ。

3.カードではないペイメントの導入

・前述の通り、Shopifyのサブスクリプション決済はクレジットカードのみ対応しており、クレジットカードを持っていないファンが離脱する可能性があるため、ファンクラブ運営においては機会損失となる恐れがある。

・クレジットカード以外の決済方法を導入する必要があるが、運営面での手間を減らすためには、即時決済が可能なPayPayなどのID決済がおすすめ。

・ID決済は、有料会員に決済と同時に任意のタグ(アクセス権限を付与するため。便宜上「有料会員」タグを使う)が自動で付与されるため、決済と同時に処理が完了する点が利点。

・銀行振込やコンビニ払いは、決済の確認や会員タグの付与が手動で行う必要があり、運営側の負担が増えるため、即決済できるペイメント方法の導入を優先すべき。

4.決済までの導線を考える

・クレジットカード決済とID決済は、それぞれ専用の商品を作成し、ユーザーが決済を行うと「有料会員」タグが付与される(Shopify Flowで自動ワークフローを構築)。

・この仕組みにより、「有料会員資格」という商品を購入する形式となる。

・ただし、ShopifyはECプラットフォームであるため、フィジカル商品の販売を前提とした構成や表現が多い。

・例えば、注文完了後の通知メールには発送に関する文言が含まれており、「商品が届くの?」と誤解を招く可能性がある。

・そのため、会員に誤解を与えないよう、通知メールなどの文言を適切に修正することが重要。

※なぜそれぞれの商品を作るのか?

クレジットカード決済専用商品とID決済専用商品を分ける理由は、サブスクリプションアプリの仕様にある。「有料会員資格」商品にサブスクリプションアプリを組み込むと、クレジットカード以外の決済方法が選択できなくなるため、別々の商品として用意する必要がある。

5.各商品購入後の管理

・各商品を購入した会員には、「有料会員」タグに加え、ペイメント方法に応じて「カード会員」または「ID決済会員」のタグを付与する(これもShopify Flowで自動化)。タグ付けの目的は主に以下の2点。

・それぞれ有料会員の数を正確に把握し、更新の際に活用するため。たとえば「カード会員」には「来月〇日に自動決済により、更新が行われます」と案内するとか、「ID決済会員」には更新日が迫ったら再度購入するように促すとかのアクションなどが挙げられる。

・もう1つの理由は、すでにどちらかのペイメントで決済を行った人が、うっかり再度決済を行う事や別のペイメント商品(クレジットカード → ID決済、ID決済 → クレジットカード)を購入する事を防ぐため。上記で紹介した「Easy Lockdown」というアプリを使ってアクセスを制限する

・有料会員の資格には期限が設けられる。「期限が迫る」もしくは「期限が切れた」などの状況を確認し、それに応じた自動もしくは手動のアクションを行うため。有効期限は、Shopify Flowを使って顧客データの任意のメタフィールドに格納する。

・クレジットカード商品には、ID決済というペイメントオプションが表示されないが、ID決済商品にはカード決済オプションが表示される。ID決済商品をクレジットカードで決済しないよう「Hide Pay」などのアプリの導入する。

6.ID決済の更新を手伝う機能を追加

・クレジットカード決済をしたら、自動更新で有料会員資格が延長されるが、ID決済の場合は、再度購入が必要。有効期限が迫ったら、再度購入を手伝う機能を設置。

・ただ、クレジットカード会員が誤って購入したり、新規のユーザーが購入したり、SNSやメッセンジャーアプリなどで共有され、そこから購入されたりするような事を防ぐ工夫が必要。

7.効率的な運営のために自動ワークフローを導入

・期限付きの会員資格を販売するので、有効期限は重要。各有料会員に有効期限がメタフィールドに自動計算、追加されるワークフローを考える。

・会員の加入日のメタフィールド追加できるワークフローを考える。

・退会を希望フォームを設置し、送信したら、自動で退会手続きができるワークフローを考える

***

今回はファンクラブ運営における重要な要素について、基本的な流れとポイントをお伝えしました。

次回以降は、各アクションを具体的に実装する方法について詳しくご紹介していきますので、ぜひお楽しみに!どの機能が必要か、どのように運営していくかをしっかりと理解したうえで、次のステップに進んでいきましょう。

Shopify小技のフリーマーケット

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